12月の繁盛期と合わせて、お節料理の仕込みに入っています。

毎年、お節料理に入れている 陸奥湾産の天然蝦夷鮑。

塩谷魚店さんから、分けてもらっています。

蝦夷鮑を炊いて、真空して、お節料理当日まで冷凍保存しておくのですが、
より良い柔らかさ、旨みを鮑に浸透させるため、凛とした八方だしを使った、

「2段階火入れ」という技法を開発しました。
今日はそれをご紹介します。

第一段階 火入れ 85度

私の経験上ですと、アワビは沸点まで上げて加熱してしまうと、
身が縮むという性質があります。

真空冷凍して保存するので、できるだけふっくら仕上げたい。

そんな中、開発したのが2段階火入れです。

凛とした八方だし1、水9の対比で、鍋に入れます。

そして、よく水洗いした、生のままの鮑を一緒に入れて、
中火より下の火力で、ゆっくり火を入れていきます。

鮑の大きさ、質によりますが、上限 85度まで火を入れて、
鍋の中の鮑を取り出します。
85度火入の鮑。

殻を外して、耐熱容器に入れます。

鍋の中の、鮑を火入した煮汁=鮑のだしを、一度沸騰させて、
耐熱容器に入れた鮑に、ひたひたになるまで、注いで蒸し上げます。

2段階火入れ 蒸し器で30分加熱する

30分加熱し、蒸し鮑の完成。

このようにふっくら仕上がります。

第一段階で、煮汁にでた鮑の旨みを、
第二段階の火入で、鮑の身に戻すという技法です。

凛とした八方だしは、素材の中心核の旨みを構築するのに適していますので、
噛むごとに鮑の旨みあふれる、お節料理の一品となります。

第一段階、第二段階と合わせた、トータル加熱時間は、
1時間を切りますし、味の調合もしなくても、凛とした八方だしが
塩梅よく作り上げます。

繁盛期の仕込み時間を軽減するのにも、役に立つかと思います。

現に、当店では数年前より、実用化した仕込み方法として取り入れています。